【短編】ダメ男依存症候群
「彼氏君?」
カオルがにんまりと笑って聞いてきた。
「何で分かったの?」
「だってねぇ……」
再び携帯が震える。早い。旬からだ。
『うん! ナツ最高!! 愛してる』
ハートマークを無駄に多く使っている。画面が真っ赤だ。旬が嬉しい時など、こういうメールが多い。
奈津美はあれだけしかメールを返してないのに、単純だ。でも、分かりやすい。
「顔、ニヤけてる」
「え!?」
カオルに指摘され、奈津美は画面から顔を上げた。
「その顔見たらすぐ分かるわよ」
そう言われて、奈津美は顔が赤くなるのを感じた。
これは、旬の唯一のいいところなのかもしれない。
旬は、普段の生活はあんなにもだらしないのに、マメなところがある。メールや電話は一日一回は旬からくれる。
今朝のサンドイッチのことのように、些細なことでも誉めたり、お礼を言ったり……それに奈津美は『キュン』となる時がある。普段がああなだけに、そのギャップがあるのだろうか。
奈津美は、旬のそういう部分にやられているというのも確かだったりする。