【短編】ダメ男依存症候群
「つうか、その旬が一人暮らし始めててさ」
「旬がぁ!?」
「うわ~…あいつ一人で汚してそう…」
ええ。いつも一人で有り得ないぐらい汚してますから。…と、驚いている旬の友人達に対し、奈津美は心の中で同意する。
「それがさ、行ってみたら普通だったんだよ。むしろ綺麗にしてあってさ」
「マジで!? あいつ掃除できんの?」
「俺もそう思ってマメに掃除とかしてんのかって聞いたらさ、彼女がしてくれるんだって」
「彼女ぉ!?」
どうやら、話が奈津美のことになったらしい。それにしてもかなりの驚かれようだ。
「彼女って、ミキ?」
ミキ…?
女の名前らしきものに奈津美は反応する。
「違う違う。ミキのすぐ後」
「ミキとは別れたんだろ? 旬が大学全部落ちたのが原因で別れたって聞いたぞ」
「マジで?何だそれ」
本当に何それ…と、奈津美はまたもや内心で突っ込む。
ミキ、とは元彼女のことらしい。旬からはそんな話が出ないから知らなかった。出ないのが普通なのであろうが。
それにしても、大学不合格が原因って……
「で、新しい彼女ってどんなんだ?」
奈津美の思考はさておいて、隣の話は旬の彼女、奈津美のことになる。
「それが年上なんだとよ。俺らの四つ上のOL」
「はぁ!? 今度は年上かよ」
「しかも旬好みのボンッ、キュッ、ポンッ。推定で上から90・59・86のEカップ」
「マジで!?」
何で知ってんの!?
思わず飛び出しそうになるぐらい奈津美は驚いた。
奈津美は、実は中々グラマラスな体型をしている。腹や太股、二の腕などはすっきりしてるのだが、胸や尻には、その分の脂肪が悩ましいつき方をしている。
街に出ると、男が振り返って見るし(奈津美に自覚はないが)、社内ではセクハラの対象にされる(もう何とかやり過ごしているが)。それぐらいの魅力的な体をしている。
それはともかく、何で旬は奈津美のスリーサイズをほぼピッタリ当ててしまったのだ。確かに、しょっちゅう見て触ってはいるが……
ていうか何でそれを友達とかに言うのよ!
奈津美の顔は恥ずかしさで赤くなる。