【短編】ダメ男依存症候群
「へー。でも、旬とOLなんてどういう繋がりあったんだ?」

 一人のそんな疑問に、奈津美のちょっといい気分は吹っ飛ぶ。


 旬! まさかあのことまで友達に言ってないでしょうね!?


 もし言っていたら、本当に別れてやると、少し本気で考えた。


「それは聞いたけど言わなかったな。『んなの勿体なくて言えるかよ~』ってキモいぐらいにデレデレしてたから、聞く気失せた」


 ホッと奈津美は胸を撫で下ろす。

 よかった……言わなかった理由は意味分かんないけど。


「…何だそれ。つうか旬のヤツ、あんなののくせに何でそんなにモテるんだよ。しかも皆いい女だし」


 …モテるんだ。しかも皆いい女……

 繰り返すように奈津美は心の中で言う。


 まぁ、旬はどちらかと言えば可愛い系の整った顔で、黙ってればいい男の部類だ。本当、口を開かず黙って立っていれば。


「その彼女も何がよくて付き合ってんだろうな」

 それは聞かないでほしい。(別に聞かれてはいないが)

 奈津美にもよく分からないのだから。


「そうだよな。浪人生に魅力なんて感じるか?」


 普通は感じないよね……って、浪人生?


「旬のヤツ、浪人じゃないぞ。大学全部落ちて、専門(学校)行くつもりだったけど、それもやめたんだと」

「そうなのか?聞いてねー」

「で、今何してんの」

「まだ仕事決まってないからとりあえずバイト生活だって」

「ふーん。……あいつ、働くとかできるのかよ」


 友人にも心配されている。奈津美も心から不安だ。旬は、ちゃんと就職できるのか……

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