【短編】ダメ男依存症候群
「ナツ?」
半歩ほど前に出た旬が、奈津美の方に振り返った。
「何ヘラヘラしてんの……?」
また声のトーンが下がっている。明らかにいつもの様子じゃない。
「え……?」
旬も奈津美の異変に気付いたが、それでも理由が分からずただ呆然としている。
「少しは悪いとか……申し訳なさそうな態度はとれないの?」
語調も声も、荒くなっている。こんなひどい自分は初めてだった。
「あたし…不安だったんだからっ。旬が……いつも時間通りになのに連絡もなく一時間以上も遅れて……電話しても繋がらないし…心配したんだからっ!」
こんな責めるような言い方はよくないとも、やめないといけないとも思っている。でも止まらない。
「あたしが…そういうの思わないとでも思ったの? 旬が何時間遅れても、平気な顔して、簡単に許すとでも思ってんの!?」
奈津美の荒げた声に、道行く人間が振り返ってまで二人を見る。
そんな好奇の視線も、今の奈津美には気にならなかった。
「そんなことないっ! ごめんっ……俺、そこまで考えられなくて……でも連絡できなかったのは、客が多かったから時間なくて…終わってから、ナツの家まで走りながら電話しようと思ったから…その前に呼び止められて……」
「もういい!」
旬が必死に言っているのを、奈津美は無理矢理遮った。
旬の言葉を、冷静になって素直に聞けばよかったのに、奈津美にはできなかった。
「何が『ナツがいれば生きていける』よ。そう言えば機嫌とれるとでも思ってるの!?
どうせ旬はあたしが身の回りのことをやってくれるから、あたしがいないとダメなんでしょ!? そんなの別にあたしなんかじゃなくてもいいじゃない!」
「ナツ……違うよ……」
「何であたしがこんな思いしないといけないの!?」
奈津美は、もう旬の言葉を聞こうともできなかった。ただただ、自分の感情を剥き出しにして、思ってもないことばかりが口から出てしまう。
「旬の部屋の掃除も…料理も洗濯も、あたしがやってくれて当たり前って思ってんの!? あたしは旬の母親じゃないのよ!」
半歩ほど前に出た旬が、奈津美の方に振り返った。
「何ヘラヘラしてんの……?」
また声のトーンが下がっている。明らかにいつもの様子じゃない。
「え……?」
旬も奈津美の異変に気付いたが、それでも理由が分からずただ呆然としている。
「少しは悪いとか……申し訳なさそうな態度はとれないの?」
語調も声も、荒くなっている。こんなひどい自分は初めてだった。
「あたし…不安だったんだからっ。旬が……いつも時間通りになのに連絡もなく一時間以上も遅れて……電話しても繋がらないし…心配したんだからっ!」
こんな責めるような言い方はよくないとも、やめないといけないとも思っている。でも止まらない。
「あたしが…そういうの思わないとでも思ったの? 旬が何時間遅れても、平気な顔して、簡単に許すとでも思ってんの!?」
奈津美の荒げた声に、道行く人間が振り返ってまで二人を見る。
そんな好奇の視線も、今の奈津美には気にならなかった。
「そんなことないっ! ごめんっ……俺、そこまで考えられなくて……でも連絡できなかったのは、客が多かったから時間なくて…終わってから、ナツの家まで走りながら電話しようと思ったから…その前に呼び止められて……」
「もういい!」
旬が必死に言っているのを、奈津美は無理矢理遮った。
旬の言葉を、冷静になって素直に聞けばよかったのに、奈津美にはできなかった。
「何が『ナツがいれば生きていける』よ。そう言えば機嫌とれるとでも思ってるの!?
どうせ旬はあたしが身の回りのことをやってくれるから、あたしがいないとダメなんでしょ!? そんなの別にあたしなんかじゃなくてもいいじゃない!」
「ナツ……違うよ……」
「何であたしがこんな思いしないといけないの!?」
奈津美は、もう旬の言葉を聞こうともできなかった。ただただ、自分の感情を剥き出しにして、思ってもないことばかりが口から出てしまう。
「旬の部屋の掃除も…料理も洗濯も、あたしがやってくれて当たり前って思ってんの!? あたしは旬の母親じゃないのよ!」