【短編】ダメ男依存症候群
「そりゃあるわよ。まあ、大抵は本当に下らないことだけど。デートの前日にいきなり仕事入ったとか、向こうがストレスたまってて虫の居所が悪かったとか」
「えー……それで、そういう時はどうするの?」
奈津美は、興味津々という様子でカオルに尋ねる。
「どうって……奈津美、本当にひどい喧嘩の仕方しかしたことないのね……」
カオルは、もう呆れたような表情になる。
「別に普通よ。言いたいこと言うだけ。それから、相手の言いたいこともちゃんと聞く」
「それだけ?」
「それだけ」
きょとんとした様子の奈津美に、カオルははっきりと頷く。
「それって、素で? 結構キツイこといったりする?」
「そりゃするわよー。だって、いくらなんでも一度も素も本音も出さなかったらストレス溜るでしょ。お互いに」
「……うん」
確かに、今まで言いたいことを我慢していたが故に、言葉が酷くなるという節はあるかもしれない。
旬に向けてしまった言葉も、きっとそうだった。