【短編】ダメ男依存症候群
10 素直な気持ち
奈津美はコーポの階段を一気に駆け上がり、呼吸を乱していた。
立ち止まって、息を整える。そこに風が吹いて、うっすらと汗をかいた体を冷やした。
今日は寒い……
天気予報では確か、この冬一番の冷え込みと言っていた気がする。
ぞくりと奈津美の背中に悪寒が走った。
「……ふぇっぶしっ!」
誰かの激しいくしゃみが聞こえて、奈津美は肩を震わせた。誰もいないと思っていたので驚いた。
しかし、今のくしゃみは何となく聞き覚えがある気がする。
「ぶぇっぷしっ!」
…また聞こえた。
もしかして………
奈津美は、自分の部屋の方へ小走りで向かった。
部屋の前は、電灯が点いているとはいえ薄暗い。しかし、奈津美の目にははっきりと映った。
奈津美の部屋のドアの前にしゃがみ込み、寒そうに体を丸く縮こめている、旬の姿を……
「……旬」
奈津美は、その名前を呼んだ。自分が思ったよりも小さく細い声になってしまった。
それでも、旬はすぐに反応して奈津美の方に向いた。
「ナツ!」
奈津美の顔を見ると、立ち上がって奈津美の前まで寄ってくる。
「お帰り、ナツ!」
旬はいつものように笑ってそう言った。本当に、何事もなかったかのようだった。
立ち止まって、息を整える。そこに風が吹いて、うっすらと汗をかいた体を冷やした。
今日は寒い……
天気予報では確か、この冬一番の冷え込みと言っていた気がする。
ぞくりと奈津美の背中に悪寒が走った。
「……ふぇっぶしっ!」
誰かの激しいくしゃみが聞こえて、奈津美は肩を震わせた。誰もいないと思っていたので驚いた。
しかし、今のくしゃみは何となく聞き覚えがある気がする。
「ぶぇっぷしっ!」
…また聞こえた。
もしかして………
奈津美は、自分の部屋の方へ小走りで向かった。
部屋の前は、電灯が点いているとはいえ薄暗い。しかし、奈津美の目にははっきりと映った。
奈津美の部屋のドアの前にしゃがみ込み、寒そうに体を丸く縮こめている、旬の姿を……
「……旬」
奈津美は、その名前を呼んだ。自分が思ったよりも小さく細い声になってしまった。
それでも、旬はすぐに反応して奈津美の方に向いた。
「ナツ!」
奈津美の顔を見ると、立ち上がって奈津美の前まで寄ってくる。
「お帰り、ナツ!」
旬はいつものように笑ってそう言った。本当に、何事もなかったかのようだった。