【短編】ダメ男依存症候群
「俺……ちょっと不安だったから……いつも、俺だけがナツのこと好きだって言って、俺だけがナツのこと好きなんだと思ってた……。ナツが俺のことどう思ってるか、自信なかったんだ。付き合い始めたのも、何だかんだ言って、俺が無理矢理ってとこもあったし……ナツは優しいから、別れようとか言えなかったりしたのかなって思ったり? …だったから、嬉しかったんだ」
旬は、苦笑して、またココアを一口飲んだ。
「あ! でも別にナツに言われたのに懲りてないわけじゃないから! 後でメチャクチャ後悔したし!」
すぐに慌てた様子で、旬はそうフォローを入れる。
旬は自分のためにそこまで必死になっているのに、奈津美は、伝えなければならないことを、何一つ言えてない。
こんな自分のために、旬はこんなに必死になってくれているのに……
「え……ナツ?」
旬の驚いた声が聞こえた。
奈津美は涙を流していた。誰かの前で、泣いたのは、小さい頃以来だ。
それも、旬の前で泣いたのなんて初めてだ。
奈津美は俯いて、声を出さずに泣いていた。
「ナツ? ごめん! 俺、また変なこと言った?」
焦りながら旬は奈津美の顔を覗き込もうとした。
次の瞬間、奈津美は近寄ってきた旬に抱きついた。
ぶつかってくるように勢いよく、体重を預けるようにして抱きついてこられた旬は、よろめいて後ろに手をついたが、それでもしっかり奈津美を受けとめた。
「ナツ……?」
奈津美には見えなかったけれど、旬はきっと呆然として、戸惑っているだろう。
こんなことは、初めてだ。奈津美が泣いて、奈津美からこうやって旬を抱き締めたことなんて、ほとんどない。
「ナツ…どうした?」
旬はそっと奈津美の背中に手を回した。
旬も、どうしたらいいのか分からないというような、そんな戸惑いが、手から伝わってくる。
「旬……ごめん。ごめんね……」
酷い涙声で、奈津美はやっと旬に謝ることができた。
旬は、苦笑して、またココアを一口飲んだ。
「あ! でも別にナツに言われたのに懲りてないわけじゃないから! 後でメチャクチャ後悔したし!」
すぐに慌てた様子で、旬はそうフォローを入れる。
旬は自分のためにそこまで必死になっているのに、奈津美は、伝えなければならないことを、何一つ言えてない。
こんな自分のために、旬はこんなに必死になってくれているのに……
「え……ナツ?」
旬の驚いた声が聞こえた。
奈津美は涙を流していた。誰かの前で、泣いたのは、小さい頃以来だ。
それも、旬の前で泣いたのなんて初めてだ。
奈津美は俯いて、声を出さずに泣いていた。
「ナツ? ごめん! 俺、また変なこと言った?」
焦りながら旬は奈津美の顔を覗き込もうとした。
次の瞬間、奈津美は近寄ってきた旬に抱きついた。
ぶつかってくるように勢いよく、体重を預けるようにして抱きついてこられた旬は、よろめいて後ろに手をついたが、それでもしっかり奈津美を受けとめた。
「ナツ……?」
奈津美には見えなかったけれど、旬はきっと呆然として、戸惑っているだろう。
こんなことは、初めてだ。奈津美が泣いて、奈津美からこうやって旬を抱き締めたことなんて、ほとんどない。
「ナツ…どうした?」
旬はそっと奈津美の背中に手を回した。
旬も、どうしたらいいのか分からないというような、そんな戸惑いが、手から伝わってくる。
「旬……ごめん。ごめんね……」
酷い涙声で、奈津美はやっと旬に謝ることができた。