【短編】ダメ男依存症候群
「その口紅ってさ、落ちにくくていいって評判なんだって。知ってた?」
旬は得意気な顔をしてそう言った。
「うん。知ってる」
奈津美は頷いて答えた。
旬がくれた口紅は、CMでよく見るもので、旬の言うとおり、食事をしたりしても落ちないということをメインに宣伝している。
「もしかして、それで選んだの?」
奈津美には逆に、旬がそれを知っていたことの方が意外だった。
「うん」
旬は、更にニッコリと笑って頷き、そっと奈津美の顔に自分の顔を近づける。
「どうして?」
奈津美が首を傾げ、そう尋ねると、旬の顔がそっと近寄ってきた。
「これでナツといっぱいチューできる」
悪戯っぽい旬の言葉に、奈津美は目を丸くした。
そしてすぐ、
「もうっ……」
と、いつもの口癖を言いながらもはにかんだ。
二人は目を合わせて笑い合い、そのまま唇を重ねた。
柏原奈津美の彼氏は、年下・高卒・フリーター。家事は一切できないし、部屋は散らかすのが得意な方だ。
奈津美がいないと、まともな生活はできないんじゃないか。
そんなダメ男の旬。
それでも、奈津美には旬が必要な存在だ。
何だかんだで、こんなダメ男に依存していたのは奈津美の方かもしれない。
☆end☆
旬は得意気な顔をしてそう言った。
「うん。知ってる」
奈津美は頷いて答えた。
旬がくれた口紅は、CMでよく見るもので、旬の言うとおり、食事をしたりしても落ちないということをメインに宣伝している。
「もしかして、それで選んだの?」
奈津美には逆に、旬がそれを知っていたことの方が意外だった。
「うん」
旬は、更にニッコリと笑って頷き、そっと奈津美の顔に自分の顔を近づける。
「どうして?」
奈津美が首を傾げ、そう尋ねると、旬の顔がそっと近寄ってきた。
「これでナツといっぱいチューできる」
悪戯っぽい旬の言葉に、奈津美は目を丸くした。
そしてすぐ、
「もうっ……」
と、いつもの口癖を言いながらもはにかんだ。
二人は目を合わせて笑い合い、そのまま唇を重ねた。
柏原奈津美の彼氏は、年下・高卒・フリーター。家事は一切できないし、部屋は散らかすのが得意な方だ。
奈津美がいないと、まともな生活はできないんじゃないか。
そんなダメ男の旬。
それでも、奈津美には旬が必要な存在だ。
何だかんだで、こんなダメ男に依存していたのは奈津美の方かもしれない。
☆end☆