彼女は今日も失恋する
「……ん。行かない、よ。」
別れるも何も、まだつき合ってもいないし。
今思えば、好きだったのかどうかすらわからない。
いつもそうだ。
誰かを“好き”だと思っても、百花と会えば、その気持ちは簡単に薄れる。
百花を抱いてしまったら、そんな気持ちがあったことすら忘れてしまう。
結局、
俺は一生、報われない想いに縛られるしかないんだ―――
「じゃあ、イルミネーション、見に行こう?」
なぜか、弾んだ声を上げる百花。
「ああ…」
「で、お食事して……って、あー…レストランはもう無理だよね?仕方ない。私がここで作ってあげるよ」
「ん……」
「ケーキは?ケーキはどうしよう?買えるかなぁ?ちーちゃんは、チョコのやつが好きだったよね?」
はしゃぐ百花の声を聞きながらも、
俺は眠りに堕ちて行く。
クリスマスイヴ。
1年に1度の特別な日。
今夜だけでも、
キミと一緒に過ごせれば
……いいや。