彼女は今日も失恋する
いつから、なんてわからないけど、
ずっと、好きだった。
たったひとつの“恋”。
手に入れるためなら、
繋ぎ止めるためなら、
何だってやってやろうと思った。
利用できるものは全部利用するし、
嘘だって平気でつける。
たとえ、誰かを傷つけることになっても仕方ない。
そう思って、今までやって来たんだ。
「“お姉ちゃん”の命令は“絶対”だから」
初めて会ったとき、“女の子”みたいに可愛い千歳を見て。
つい、意地悪で言ってしまった言葉。
……まさか、こんなに“使える”とは思わなかった。
「……慰めて?」
お酒の力と涙の力。
ママから教わった“武器”を使ったのは、千歳に初めて“彼女”ができたと知ったとき。
はじめはさすがに躊躇したけど、黙って見てることなんてできなくて……
盗られる前にやらなきゃ、って思って決行した。
そして、見事に成功。
その後は、もうずっとこの作戦に頼ってる。
千歳が他の女の子に触れる前に、私に触れさせる。
千歳の性格上、“浮気”なんてできないから。