彼女は今日も失恋する



「失恋した」

なんて、言ってて自分で笑っちゃうよ。


すべてフィクション。

架空のお話。


沙織とかママとか、他の友達の話とか…うまーくミックスして脚色して、アカデミー女優にでもなったつもりで演じきる。

そうすると、千歳の中では“リアル”になる。

信じちゃう、んだよね。


……で、

同情からか哀れみからか、私を“慰めて”くれる。

そして“彼女”と別れてくれる。


私にとっては、まさに“魔法の言葉”。


狡くても、最低でもいい。

誰になんと言われようが、かまわない。


千歳が私のものになるなら、それでいいの―――








……あ。でも、ほら。

考えようによっては、嘘とは言い切れない部分もなきにしもあらず…だよね?


だって、私がその言葉を口にするのは、千歳に“彼女”ができたときなんだから。

一瞬でも、やっぱり“失恋”してるんだから。





「……ねぇ、ちーちゃん?」


< 24 / 26 >

この作品をシェア

pagetop