彼女は今日も失恋する


「……ちーちゃん?どうしたの?ボーッとして。」


気づけば、目の前には不思議そうに俺を覗き込んでいる百花がいて。


「ほら、いいもの見つけたから…飲もう?」


さっきまでとは一転。

ご機嫌な様子で、何かを手にして……って、おい!


「お前、それっ…今日のパーティー用のシャンパン…俺の…」


一体、いつの間に……


「は?“パーティー”?誰と?“彼女”と??ちーちゃんってば、傷心の私を残して1人だけそんな楽しいことするんだ?」


シャンパンをグラスに注ぐ手を止めて、じろっと睨んでくる百花。


「違っ…サークルのイベントで仕方なく…」

「……どーだか。その後、イヴを口実に気になる女の子を誘っちゃえ…とか思ってるんでしょ?で、あわよくば…」

「なっ…」


微妙に当たっているから悔しい。

確かに、俺には今一緒に過ごす彼女はいないけど、いい感じの女の子はいる。

あとひと押し、ってとこだから、今日がチャンスだと張り切ってたわけだけど……




「……ダメ、だよ?そんなの許さないから。」



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