【短編】Christmas Present
言われなくたってそんなこと。



拓都の馬鹿。



まるで、私が子どもみたいな言い方をする。



私だって分別は持ち合わせているし、伊達に拓都のそばにいたわけじゃない。



何をすれば嫌がるかくらい、わかってるつもりなのに。



「……私、帰る。」


「え?」


「帰る、バイバイ、お大事に。」



口を挟ませる隙を与えず、私は立ち上がった。



さっきまで私を見なかったくせに、慌てた様子の拓都が見えた。



目の端にそれを捉えながらも、わざと振り向かない。



知った事か。



私を傷つけた拓都が悪い。



カーテンから出ると、もう病室の空気はもとに戻っていた。



誰も私を気に留める人はいない。



これ幸いと私は足早にその場をあとにした。



もう、あいつは。



…でも、またたまにお見舞いに来てやるか。












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