【短編】Christmas Present
「好きってね、男としてって意味よ?
愛してる、ってほうのね。」



拓都は背中を向けてて動かない。



どんな反応をしているのか興味がなかったわけではないけど、私はそのまま続けた。



「ずっとね、好きだよ。
高校入って、拓都が話してくれないのも正直つらかったし、嗄雪って呼び名を変えられたのもなんか痛かった。
さっきだって、女来てるし。」



聞いてる?と袖を引く。



拓都は振り払わなかった。



まぁ、驚いてるだろう。



気付いた素振りも見せない、鈍感男だから。



ところが、次の瞬間、私の心臓を止めるような言葉が拓都の口から飛び出した。



「知ってたよ。」



嘘だろ、と出来ることなら叫びたい。



知ってたなんて、言われるなんて思ってなかった。



「俺が学校で無視するたび、お前の顔曇ってたのも知ってる。」



じゃあ、なんでなにも態度変えてくれなかったの。



「それが、拓都の断り方だったんだ。」


「そうじゃねぇよ。」



私はベッドに転がったまま、拓都の言葉を待つ。



こういう場合、ドキドキするはずなのに、私は落ち着いていた。



「試したかった。」


「何を?」


「本気で嗄雪が俺のこと好きなのか。
ただ、幼馴染ってだけの気持ちを恋心と間違えてんじゃないのかって思ってた。
それに俺、だんだん女っぽくなってくお前にどう接していいのかわかんなくなってたし。
変に親しくして、ウザがられたらどうしたらいいかわかんなかったし。
そんでもって、“やっぱこんなの恋じゃなかった”なんて気付かれて、去られんのが怖かった。」



何それ。



わかってて、こんな仕打ちしてたわけ。




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