【短】あのね、好き・・・
「どうしたの?」
急に後ろから聞こえてきた男の子の声。
「…なんでもない」
あたしは振り向かず、そっけなく答える。
「なんでもない女の子が、授業中に一人屋上で泣かないだろ」
呆れながら、ため息をつきながら彼は言う。
「別に泣いてなんか―…っ」
“ない”
そう言おうと思った瞬間、
あたしは彼に後ろを向かされて両腕をつかまれ、向き合う形になってしまった。
「ほら、泣いてる。なんでそんなに強がんの?」
予想外の展開に頭の中がついていかない。
だけどなるべく動揺をみせないように。
下を向いたまま答える。
「強がってなんかないよ…」
蚊の鳴くような小さな声で言う。
だけど…
触れてる腕から彼の暖かさが伝わってきて。
余計に涙がでてくる。
誰かに触れたのなんて…
いつ以来なんだろう。