【短】あのね、好き・・・
一人の学校
学校に着くと、当たり前のように痛い視線を浴びながら廊下を歩く。
いつもなら気にならない陰口も
今日に限ってはすごく気になってしまう。
いつもは怖くない先輩たちも
今日だけはなぜか怖く感じてしまう。
・・・拓斗くんがいないだけで、こんなにも違うなんて・・・
学校に来てすぐに弱気になりそうになる。
そんな自分に気づいたあたしは慌てて自分の心に訴える。
――ダメだよ。まだ始まったばっかりじゃん――
必死に心の中の自分を励ます。
強がりだとわかってても、そんな自分をとめられない。
――お願い・・・がんばってよ、あたし――・・・
自分の弱気な心に蓋をするように・・・
弱気な部分を人に見られたくないから、あたしは自分の気持ちを必死に隠した。