【短】あのね、好き・・・
分かってた。
ほんとは、拓斗くんに出会った日から。
いや・・・多分それより前から、ずっと分かってた。
なのに、
同情されたくない、強くなりたい・・・
そんな気持ちから、自分の心の奥底の弱さを隠してただけなんだ。
わかってたのに――・・・・・・
なんで今になって、後悔してるんだろう・・・
ただ一点を見つめて、静かに涙を流すしかできないあたし。
どれくらい時間がたったのだろう。
外はもう暗くて、冬の冷たい風が肌を掠める。
いつの間にこんなに時間たったんだろう・・・
そのとき、急にケータイ電話の着信音が狭い倉庫の中に鳴り響く。
暗い倉庫が
ケータイから放たれる光によって明るく照らされる。
あたしは、ゆっくりケータイに手を伸ばし
誰からの電話かを確認する。
でも、そんなことしなくたって
誰からの電話かなんて、大体わかる。
きっと――――・・・・・・