魔法世界−ファントムシティ−


俺も二人と同じように首を傾げて言うと、目の前の双子が何故かほんのりと頬を赤く染めた。


ん?俺今何か変な事言ったか?


「あっ…じゃあ、そろそろ行きますかっ!!校内見学♪」


ナナリーとアミは、顔が赤い事を隠そうと俯き<ウツムキ>、ティアの声に頷いた<ウナズイタ>。


「あぁ、行くか」


俺はティアに向かっても敬語はやめた。


不平等な気がするから、と言うのも理由の一つだが、俺自信、区別するのが面倒になったからだ。


ロビーはいつの間にか人で溢れ返っていた。


皆、俺らと同じ一年生だろう。


がやがやと騒がしくなってきたロビーから早く抜け出したくなった俺は


「んじゃまずは講堂にでも行きますか」


と言ってそそくさと玄関へ向かった。


後ろからティア達が小走りでついて来るのがわかる。


寮の外は暖かな春の日差しが、大きなサクラの木々を眩しく照らしていた。


生暖かい春風が木々の葉を揺らし、優しく頬を撫でる。


サクラの木々は、淡いピンク色の花を咲き乱れさせ、花びらを美しく風に舞わせていた。


この季節は嫌いじゃない。


むしろ、好きな方だ。


ヒラリヒラリと風に舞うサクラの花びらは、美しくもあり、幻想的でもある。


少し浮世離れした美しさを持つ植物。サクラ。


「サクラ、綺麗だね」


「あぁ…」


いつの間に追い付いたのか……否、どれだけの間そこに突っ立っていたのか。


気が付けば、俺の隣にティア達がいた。


咲き乱れたサクラの木を少し眺めてから、俺達は講堂へと向かった。


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