魔法世界−ファントムシティ−
………。
……………。
………………………。
うわ……なんか嫌な予感がするんですけど…。
俺とアミは徐々に前を走る二人との差を縮めていった。
どうやらアミは走るのが得意みたいだ。
「……っっ……捕まえた!!」
アミが声を発すると共に手を伸ばす。
すると……―――、
「……ぐはっ!」
ナナリーが俺の視界から一瞬にして消え去った。
アミがナナリーの服の襟を引っつかみ、ナナリーが後ろに引き寄せられ転んだのだ。
「ナナリー!?大丈夫!?」
「他人の心配より自分の心配したらどう?ティア」
「……え?」
俺は腕を掴まれてキョトンとしているティアに、わざとらしく少し黒い笑みを向け、ゆっくりと言った。
「人の話無視して、突然走り出すなんて……どう言うつもり?」
アミが息を整えつつ、冷たい視線をナナリーに向けて問う。
ナナリーとティアは顔を見合わせ、“しまった!”と言うような苦い笑みを浮かべた。
「ごめん…」
「つい……」
「「………」」
「「野生の血が……」」
「……はぁ?何言ってんの?」
「………はぁ……」
アミに無言の圧をかけられて、気まずくなった二人はしまいにはコントのような事を口走り始めた。
アミがそれに呆れたようにツッコミをいれるものだから、この三人の会話はもはやコントとしか思えない。
まぁ、そんな事はさて置いて。
とりあえず場所を変えて…―――
「……っ!?!」
「―――…もう!ねぇ、ライトからも何か言っ――――……ライト?」
「…!!ライトっ!?」
グラリ…と傾く視界。
突然頭に走る激痛。
頭、と言うより、脳に直接響いてくるような……、鋭い痛み。
周りの音が聞こえなくなるくらいの耳鳴り。
なんだ……?コレ……。
一瞬、視界が真っ暗になり、立ちくらみがして、俺は崩れるように座り込んだ。
その時だった…―――。