魔法世界−ファントムシティ−
普通なら……普通の14歳の男子なら嬉しいシチュエーションだろう。
しかし…今のこの状態は、俺にとってはただの苛立ちにしかならない。
「……降りろ、リオ」
「うーわー…、朝から不機嫌なオーラかもし出しまくりだね、ライト」
ぶすっと不満そうに頬を膨らまし、渋々俺から降りる美少女を俺は冷たく睨みつける。
こいつはリオ。
リオ・シルフィー。
俺の妹、だったりする。
俺は
ライト・シルフィー。
ごく普通の14歳。
特徴…これと言ってなし。
強いて言うなら、瞳の色が変わってる事ぐらいだ。
俗に『魔法世界』と呼ばれるこの世界…“ファントムシティ”では珍しい、漆黒の瞳。
怠い上体を起こし、頭を緩く振る。
とりあえず、昨日の出来事を整理しよう。
昨日―、
いつものように裏山辺りで昼寝していたら、突然リオが来て―、
『ライト!大変だよ!家にライト宛ての手紙が届いたんだけどね、手紙の差出人が……、』
―《蒼神<ルミアス>国聖学園》―
いや…いやいやいや…、
ちょっと待て。
……嘘だろ?
《蒼神国聖学園》って言ったら、魔法学や剣術が物凄く長けている…いわゆる、エリートが通う国立の学園だぞ?
その《蒼神国聖学園》の学園長ともあろう人が、何故に俺に手紙を……?
俺が眉間にシワを寄せ、難しい顔をしているとリオが今さっき思い出したと言った様子で…、
「そう言えば、ライトって今日から《蒼神国聖学園》に通うんだよね? 頑張ってね!」
……と一言。
……。
……………。
…………………………。
……は?
「……リオ、今、何て言った…?」
「え? だから、ライトが《蒼神国聖学園》の生徒に……」
「なるって?」
「そう」
「んで、通えって?」
「そうそう、そう言う事」