魔法世界−ファントムシティ−


――そう。


俺の、……‘本当の姿’を、隠したまま……。


なんか、8割超えるくらいの確率で途中でバレる気がするのは――…


多分、気のせい……じゃ、ねぇよな……。


いろんな考えが飛び交う中、俺は静かに目を閉じた――。





――翌日。


皆さん、
おはようございます……。


(朝は)少し機嫌が悪いライト・シルフィーです……。


まぁ、低血圧と言うやつなので、お気になさらず……。


俺は、まだ覚醒しきっていない頭で、俺らの担任になったハープ先生が昨日言ってた事を思い出す。


俺らって言うのは、勿論俺とティア、ナナリー、アミの4人の事だ。


――『皆さん、明日からは本格的な授業が始まりますから、教材を忘れずに持って来てくださいね。


あ。それから…、明日はいきなりですが、テストをします。皆さんの魔法力を測るためのテストですので、あまり難しく考えないで、リラックスして臨んでください』


あー……テスト、な……。
面倒くせぇー……。


欝陶しい前髪を払い、ベッドから下りる。


顔洗って、歯磨いて……、
学校に行く支度をする。


「あ……」


着替えも終わって、ちらっと勉強机の上を見た時だった。


俺は、小さく声を上げて、そこへと近付いた。


机の上には、俺が妹のリオから貰った‘お守り’が……。


炎系の魔晶石……《火炎攻撃特化石<カエンコウゲキトッカストーン>》。


略名、《炎石<ファイアストーン>》。


よく考えてみれば、何故リオがこんな物を持っていたのか……。


こういう、術の施された“特別なモノ”ってのは大概、学園の関係者や学園卒業者しか持ってないはずだ。


だが、勿論のこと、リオはそのどちらでもない。


………。
まぁ……いいか。
これ以上は俺が立ち入るべきではないだろうし、リオだって……。


本人が教えたくないなら、俺は詮索しない方がいい気がするし…。


「……はっ…俺らしくねぇ…」


少し自嘲気味に鼻で笑って、そう呟く。


俺は、手の平にある、その石を、きつく握りしめた。




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