魔法世界−ファントムシティ−
「皆さん、おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」
お決まりの台詞で朝のHRを始めたハープ先生は、心なしか、表情が硬い気がする。
「えぇと……今日は、前もって皆さんにお知らせした通り、
“魔法力テスト”をします」
ハープ先生がそう言った途端、クラスメートのほぼ全員が嫌そうな顔をした。
まぁ、当然と言えば当然の反応だろう。
俺は、広くてまだ見慣れない、真新しいフローリングの床に映った窓の外を見ていた。
何気なく、ぼんやりと…。
「では、早速……第二グラウンドに出て、テストを始めます。
皆さんは私が行くまでに練習しておいてくださいね」
ハープ先生がそう言ってどこかへ行くと、皆教室を出て第二グラウンドに向かった。
「なぁ!皆で誰が一番好成績か予想しねぇか?」
クラスの中心的人物の男子生徒が突然、そんな事を言い出した。
「いいねぇ、それ!」
近くにいた生徒達がはやし立て、盛り上がる。
「よーし、じゃあ、全員強制参加だからな!」
言い出しっぺの男子生徒が声を張り上げて言う。
俺は、興味が全くなかったので、とりあえず無視……と思ったのだが…。
そう簡単にいくはずがなかった。
「わぁっ!楽しそう!」
と、ティア。
「うん、やるやる!」
と、ナナリー。
「「ねっ!二人とも、やるよね?」」
………見事にハモって二人が俺とアミをじっと見つめる。
「う、うん……」
アミはそんな二人の迫力に圧されたようで、苦笑いを浮かべながらも、すんなり頷いてしまった。
「俺はやら――」
「「全員強制参加!!」」
俺が最後まで言い終わらない内にティアとナナリー、言い出しっぺの男子生徒が声を揃えて言った。
「言っただろ?」
ニヤリ、と笑う男子生徒の、意味ありげな口調に、俺は渋々承諾した。
「(ちっ…)……わかったよ…。やりゃいーんだろ」