魔法世界−ファントムシティ−


「皆さん、おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」


お決まりの台詞で朝のHRを始めたハープ先生は、心なしか、表情が硬い気がする。


「えぇと……今日は、前もって皆さんにお知らせした通り、
“魔法力テスト”をします」


ハープ先生がそう言った途端、クラスメートのほぼ全員が嫌そうな顔をした。


まぁ、当然と言えば当然の反応だろう。


俺は、広くてまだ見慣れない、真新しいフローリングの床に映った窓の外を見ていた。


何気なく、ぼんやりと…。


「では、早速……第二グラウンドに出て、テストを始めます。
皆さんは私が行くまでに練習しておいてくださいね」


ハープ先生がそう言ってどこかへ行くと、皆教室を出て第二グラウンドに向かった。





「なぁ!皆で誰が一番好成績か予想しねぇか?」


クラスの中心的人物の男子生徒が突然、そんな事を言い出した。


「いいねぇ、それ!」


近くにいた生徒達がはやし立て、盛り上がる。


「よーし、じゃあ、全員強制参加だからな!」


言い出しっぺの男子生徒が声を張り上げて言う。


俺は、興味が全くなかったので、とりあえず無視……と思ったのだが…。


そう簡単にいくはずがなかった。


「わぁっ!楽しそう!」


と、ティア。


「うん、やるやる!」


と、ナナリー。


「「ねっ!二人とも、やるよね?」」


………見事にハモって二人が俺とアミをじっと見つめる。


「う、うん……」


アミはそんな二人の迫力に圧されたようで、苦笑いを浮かべながらも、すんなり頷いてしまった。


「俺はやら――」


「「全員強制参加!!」」


俺が最後まで言い終わらない内にティアとナナリー、言い出しっぺの男子生徒が声を揃えて言った。


「言っただろ?」


ニヤリ、と笑う男子生徒の、意味ありげな口調に、俺は渋々承諾した。


「(ちっ…)……わかったよ…。やりゃいーんだろ」


< 28 / 35 >

この作品をシェア

pagetop