魔法世界−ファントムシティ−
「……」
絶句。
とにかく、驚きと疑問が入り混じって、頭が混乱して……言葉が出て来ない。
「あ、ちなみに登校拒否権は無いらしいよ」
まじかよ……。
んなもん、言ったもん勝ちじゃねぇか…。
俺は深々とため息を零し、渋々ベッドから起き上がった。
かくして、俺は超有名学園、《蒼神国聖学園》に通う事になった。
この世界では、子供は14歳か15歳で学園、もしくは学院に通う。
だいたいの学園は全寮制で、学院は女子学院が多い。
そのため、学園は男子ばかりが集まってしまう。
しかし、《蒼神国聖学園》だけはどう言う訳か、男子女子が同じくらいの人数だ。
ちなみに、学院は制服だけど、学園は私服OKになっている。
俺は訳が解らないまま、両親と妹(リオ)に見送られ、家を後にした。
生活に必要な日常品は後で学園に送ってくれるらしく、俺はほぼ手ぶらで学園へと向かわされた。
学園に行くのは簡単だ。
街まで降りて、学園行きの魔導列車に乗る。
それだけ。
俺は移り行く窓の外の風景をただ、ぼんやりと眺めていた。
そのためだ。
声を掛けられてから、反応するまでが遅くなったのは。
「あの…隣、よろしいですか?」
「…ん? あぁ、どうぞ。ご自由に」
窓辺に肘をつき、頬杖をつくような状態で窓の外を眺めていた俺の向かい側の席に座ったのは二人組だった。
二人組の女子。
片方が制服を着ていない所を見るとこの二人、通う学園は違うようだ。
向かって右側に制服を着た、鮮やかな緑色の髪を肩まで伸ばした大人しそうな子が座り、
左側にブロンドの腰に届くか届かないかぐらいの長さの髪を高い位置で一つに束ねている子が座った。
よく見れば二人共、とても美人だ。
まさに男共が群がりそうな……。
っと…表現が悪くなったが、それぐらい可愛らしかった。
………まぁ、正直な所、俺はあまり興味が無いのだけれど…。