魔法世界−ファントムシティ−
「え……」
「ん?」
ハープ先生は教師らしくない少女みたいな可愛らしい笑顔で首を傾げた。
知ってるくせに…。
俺の親は――…、
魔法の才能が全くないってこと。
じゃあ何故その息子の俺が
こんな学園に入れてんのか。
んなもん、今の両親が、
俺の本当の親じゃないから、だ。
それ以外に理由なんてねぇだろ?
………と言うことは。
先生なら知っているはず。
俺の今の両親が、俺に
“魔法学の基礎”なんて教えられるわけがないって。
つまり、今ここでハープ先生のこの問い掛けに頷く、という行動はとても不自然だということ。
さて………
どうする………?
「え、と……俺は――」
「やっったぁーーーっっ!!出来たぁーーっっ!!」
一か八か、俺が腹をくくって口を開きかけた時、俺のすぐ近くからそんな声と「おぉっ!」っという少しばかりの歓声があがった。
「……?」
「やったね!」
「これくらい、出来て当然よ」
「あぁよかった……」
見ると、見知った三人の女子が、手に箒を持って喜んでいる。
その三人と言うのは……
「! ティア、ナナリー、アミ!!やるやんか、自分ら!」
「「えへへっまぁね!!」」
「あ、ありがとう、ルナウル君」
ルウが褒めると、三人は嬉しそうに笑い、何故か俺を見た。
――…?
えと……な、何だ……?
これは……。
俺も何か言うべきなのか……?
「「………」」
三人に無言でじっと見つめられることに耐えられなかった俺は、軽く苦笑しながら口を開いた。
「初めてにしては(緊張しすぎだったけど…)上手くやれたんじゃね?」
「「ほんとぉ!?」」
瞬間、三人の顔が綻んだ。
嬉しそうに照れ笑いを浮かべ、顔を見合わせている。
「ルウもライトも過剰評価しすぎじゃねーか?特に、ティアに関しては……」
「「アイグル……」」