魔法世界−ファントムシティ−
不思議そうな表情をして俺の顔を覗き込むのは、喋り方に少し独特なアクセントがあるルウだ。


「ああ、せや。さっきの話やねんけどな」


「「ん?」」


ルウの突然の話の切り替え方に、俺だけでなく、ティアやナナリーやアミ、アイグルまでが反応した。


ルウはにこりと笑窪を作って笑い、俺に言った。


「自分も、ライトの実力がなんぼのもんなんか、気になったんや。せやから、今から俺とライトとアイグルの三人で、腕試ししよーや」


「「腕試し?」」


俺とアミ以外の三人が興味津々、と言った顔で身を乗り出す。


……って、いやいや。
ティアとナナリーは関係ねぇだろ…。


俺は思わずしかめ面をしてしまい、慌てて表情を消した。


幸い、俺が嫌そうな表情をしていたのを見ていたやつはいなかったらしく、ホッとした。


ここで嫌な顔して、変に突っ込まれたら、そっちの方が厄介だ。


「それは面白そうじゃねぇか。その話、乗った!」


「勿論、ライトも参加するやろ?」


「あ、ああ……」


え、勝手に参加決定?
もしかして、強制参加?
ってか、何気に俺には決定権なしなわけ?


等など。
その時の俺の心境は様々だったが、結局はどれも口にすることはなく、俺も(ほぼ強制的に)参加することに……。


まあ、流石にこんなことで熱くなって本気出すようなヘマはしねぇだろうけど。


ほんの少し心配だったり、する。


いくら俺がまだまだ未熟者だって言っても、自身の魔力の制御とコントロールくらいは出来る。


とは言え、何があっても、奥底に眠る本当の自分の魔力の封印を、ほんの一瞬でも解放しないと言い切れる程の自信はない。


頼む、解放するなよ……。


心の中で、もう一人の自分に呼びかける。


心身ともに平常だ。


よし、いける……。


「んじゃー、まずは。基本中の基本!」


「……っと言えば、『火炎瓶<ファイアポット>』しかないやろ!」


『火炎瓶<ファイアポット>』……。


火炎系では一番一般的に多く使われる魔法だ。


確かに、『アップステイ』の次ぐらいに基本的だと言えるだろう。
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