魔法世界−ファントムシティ−

こんな事を言うと、決まって親父が「お前、本当に男か?」なんて失礼な事を聞いてくる。


女子に興味ねぇ野郎だっているんだよっ!


いや…、俺の場合、異性への興味どころか、自分にだって興味がない。


ただ、生きている。

それだけ。



しばらく女子二人を無視して、ぼんやりとしていたが途中で学院についたのか、緑の髪の方が
「それじゃあ…」
と曖昧な笑みを浮かべて列車を降りた。


俺は一応、社交辞令として軽く微笑み、会釈した。


彼女が列車から降りた途端、話し相手がいなくなって暇を持て余したのか、ブロンドの髪の少女が俺に話し掛けてきた。


満面の笑みで。


「ねぇ、君、名前は?」


あぁ…欝陶しい…。


そう思いつつも、無視するのは可哀相だったので、なるべく爽やかな笑みを浮かべ、返した。


「ライト・シルフィーです。貴女は?」


「私? 私は
ティア…、ティア・リルシャスよ」


「ティア…さん?」


「そ。ねぇ、ライト君って呼んでもいい?」


ティア、と名乗った少女はおそらく、俺と同い年くらいだろう。


しかし無駄に大人びている気がする…。


そう、無駄に…。


頬が引きつりそうになるのを何とか堪えて柔らかく微笑む。


筋肉痛になりそうだ…。


「いいですよ。好きに呼んで下さって結構です」


俺がそう言うと、ティアは嬉しそうに顔を綻ばせ、「ありがとっ」と呟いた。



列車が《蒼神国聖学園》に着くまでの間、俺はティアの話し相手をするので忙しかった。


何度ため息を零しそうになった事やら…。


しかし、そんな彼女の事で物凄く驚いた事がある。


それは――…、


彼女…ティアも《蒼神国聖学園》の生徒だった事。


しかも同学年。



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