魔法世界−ファントムシティ−
でも、まぁ…、この先彼女と接触する事は無いだろう。
《蒼神国聖学園》は、流石は国立!っと言った所で、学年が一年から六年の六学年、クラスが最高5つある。
そして、今年の入学生が……3600人くらい。
彼女もその内の一人。
勿論、俺もだが。
それにクラスが5つもあるのなら、勿論校舎だって広い。
待ち合わせでもしてなきゃまず会う事は無いと考えるのが妥当だろう。
『《蒼神国聖学園》に、到着致しました』
列車のアナウンスが流れ、目の前の少女…ティアが立ち上がる。
どうやら学園に着いたらしい。
俺もティアの後に続き、少しずつ外に出来つつある人込みの中へ。
駅のプラットフォームにしては広すぎる《蒼神国聖学園》前の駅は溢れんばかりの人でごった返していた。
皆俺と同い年くらいだろう。
黒に近い、深い紺色の学園指定のローブを着ている奴が多い。
でも。俺は今朝、この学園の生徒になった事を知ったのだ。
勿論ローブなんて用意していない。
けれど…、俺は普段から夜空を切り取ったかのような、美しい漆黒のローブを羽織っていた。
だからあまり目立つ訳でもなかった。
俺は学園に着くまでの少しの間、ティアと行動した。
俺は…、どちらかと言うと一人でいたかったのだが、ティアがついて来るのだから仕方ない。
学園前の駅に降り立った俺とティアは、大きな黒い……犬?を連れたかなり美形な薄紫色の長髪の――学園の教員と思われる――男に案内され、純白の馬車に乗った。
リオが見たら、「何処かの国のお姫様みたい!」なんて言い出しそうな馬車だ。
馬車は六人乗りで、ティアが当たり前のように後ろの列の真ん中に座ったので、俺はティアの右隣りに座った。