魔法世界−ファントムシティ−

ある程度説明が終わったのか、校内案内の最終地……、巨大な、では言い切れない程デカイ講堂をバックに微笑む長髪の男。


っつかこいつ何て言う名前だったっけ…。


さっき校内案内の前に名乗ってた気もするんだが……駄目だ、忘れた。
思い出せねぇ。


長髪・美形な男教員の問い掛けに、女子は黄色い声で
「ありませ〜ん」
と返す。


俺も特に興味無かったし、何も言わずにただぼんやりと突っ立ていた。


「じゃあ、とりあえず。寮のカウンターで自室の鍵、貰って来てね。」


「「はぁ〜い」」


「それから講堂に集まってね。入学式があるから」


「「はぁ〜い」」


「…」


じゃあね、と手を振り寮とは正反対の方へと歩み出した男性教員は、黄色い声を無視して突き進む。


まぁ、妥当だな。
一々反応してたら身が持たねぇっつーの。


それでも女子の黄色い声は止まらないらしい…。


「はぁ……欝陶しい…」


俺は深いため息と共に言葉を吐き捨て、ごった返す人込みを縫うように進んだ。



先程、男性教員が案内していた寮へと一直線。


女嫌い、と言う訳では無いが、あまり得意じゃないと言う事は確かだ。


だから一刻も早く女子の群れから抜け出したかった訳だ。


寮のカウンターへと向かうと、どうやら俺が一番だったらしくまだ誰もいなかった。


『人物確認をします。学年と氏名をどうぞ』


機械的な声が流れる魔晶石<マショウセキ>で出来たパネルに手をかざし、声に応える。


「第一学年、ライト・シルフィー」


『……ピピッ…認証しました。貴方の部屋番号は4-106号室です。鍵をお取りください』


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