魔法世界−ファントムシティ−
パネルから聞こえる声に従い、パネルの横の小さな扉を開ける。
するとそこにはカードの鍵が。
俺はカードを取って指示された自室へと向かった。
4-106号室って事は4階か。
他の世界はどうだか知らねぇけど……否、他の世界があるのかも知らねぇが……、
ファントムシティには手動…もしくは自動の移動手段はほとんど無い。
何たってここは魔法世界。
手動でも自動でもなければ……
魔導だ。
上へ上るのも、階段か
“瞬間移動<テレポータリスト>”の二択だ。
“瞬間移動”は魔晶石に込める事が出来るから、移動手段としては多く利用される。
寮にあるのも“瞬間移動”の魔晶石で出来たワープパネルだ。
それは魔晶石の案内パネルがあるカウンターから少し離れた所にある。
ほんの少しだが。
蒼神国聖学園の寮は、
ここは本当に寮なのか……?
と思ってしまう程に、寮らしくない。
まるで何処かの高級ホテルのようだ…。
足音が吸い込まれてしまいそうなフカフカの朱い絨毯(ジュウタン)…、
頭上で眩しく煌めく白いシャンデリア…、
所々に施されている純金と思われる装飾や純白の立派な柱……。
明らかに寮とは思えない。
っつーか……、寮じゃねぇだろ、これ。
「はぁ……」とため息を零し、ワープパネルに触れかけた時――。
「ライトっっ!」
―誰かに呼び止められた。