春夏秋冬〜Side〜
部活終わりの空気が、湿気を帯びて重くなってきた。
もうすぐくるだろう夏の匂いが、俺を包み込んだ。
――――好きなの。付き合って。
――――ごめん。
入学してから、もう何度目になるだろう。このやり取りは。
もちろん、相手はいつも別人で。
みんな同じように、短いスカート、長い髪、うるんだ瞳。
正直、区別がつかないんだ。
もちろん、俺だって興味がないわけじゃない。
ただ、部活が忙しいし、父さんはまた出張で海外だし、兄貴は学校に行かないし、母さんは俺に溺愛だし、家の中が微妙なバランスで成り立ってる時に、そんなことをしている場合ではない気がする。
俺が女の子と付き合ったところで何も変わる事はないのかもしれないけれど。