春夏秋冬〜Side〜
俺はただ俺のままでいい。
何度自分に思い聞かせてきただろう。
その言葉にも、だんだん縛られている俺がいる。
なにがしたいのか、なんてまだわからないし。
学校に行って、ぼんやりと授業を受けている時に、ふと、兄貴がうらやましいと思う。
兄貴―――悠斗は、いつのころからか、学校に行かなくなった。
なぜかはわからないけれど。
夜中に一度、リビングで絵を描いていた悠斗を見た事がある。
悠斗は、成長期の早くきた俺とたいして変わらない広さの背中を丸めて、ペンを握っていた。
熱気、というかオーラというべきか、悠斗の背中からなにか訳のわからないものが立ちのぼっていた。
俺は、悠斗が少し怖くなった。
何かわからないものと、悠斗は全身で闘っていた。
次の日、俺は珍しく熱を出した。