罪過
ベッドに横たわったままで、シーツを眺めていた。

いくつもあるシワの波を目でなぞり、ときおり隣にいる男の寝顔を盗み見る。



思い出した。



思い出してしまった。



忘れてしまいたかったのに……。


一番大好きな人で、一番憎い人。


たった一人の家族で、世界で一番大切な人。




なんで、こうなっちゃったのかな……?







眠るおにいちゃんのくちびるにそっとキスして、あたしは目を閉じた。


甘い香水と汗が混じった香り。


おにいちゃんの匂いで、そして……









罪を犯した匂い。



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