ならばお好きにするがいい。
 
色素の薄い睫毛。その奥の深い黒橡色の瞳が、真っ直ぐに私を射抜いて。私の心を縫いとめてしまう。



「結城」



薄く開かれた唇から、小さくこぼれた私の名前。小さくてもよく通る低い声が、空気と一緒に私の心も揺らす。



「……ありがとな」



ぽつり、吐き落とされたその言葉に、ぎゅっと心臓を掴まれた。



「……楽しかった」



いつもは鋭く研ぎ澄まされている目は柔らかく細められて、穏やかに私を見つめている。


そんな表情で、そんなこと言われたら、胸の奥がぐっと詰まって苦しくなる、泣きそうになる。



何も言えずにただ目を見開いて先生を見上げていたら、長くてしなやかな指が延びてきて、私の髪をくしゃりと乱した。私の頭を優しく撫でる指先の体温に、ますます胸が痛くなる。



先生、好き。


先生と一緒にいる時間が長くなれば長くなるにつれて、この気持ちはどんどん大きくなっていく。


もうどうしようもない。


止まらない、止められない。


私、先生が好き。


どこまでも、好き。




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