ならばお好きにするがいい。
「……ありがとな」
もはや反射的だった。
体が勝手に動いて、気付いた時には、結城に覆い被さるようにして、熱い砂の上にしゃがみこんでいた。
痛ェ……。
予想以上の激しい痛みに、背中が悲鳴を上げている。
くそ……樫芝の奴、本気で投げやがったな。
「……?」
虚ろな瞳で俺を見上げる結城の顔は真っ赤で、水でも被ったのかと思うほど、髪は汗でびっしょり濡れていた。
「なにやってんだ……馬鹿」
何となく様子がおかしいとは思っていた。
試合が長引くにつれてよろよろと足取りがおぼつかなくなっていくこいつを見ながら、内心気が気じゃなかった。
もしかしたら倒れるんじゃねーかと、そう思っていたら……案の定。
ったく……つーか、倒れるなら倒れるでせめてタイミング選びやがれ。
なんでまさに樫芝がボール投げる直前に倒れるんだよ。
おかげで樫芝の本気のボールが背中に直撃だっつーの。痛ェな……くそ。
肩で苦しそうに息をする結城を抱き起こしながら、自分で自分に苦笑する。
つーか、反射的にこいつのこと守っちまうなんて……俺の方こそどうかしてるな。