ならばお好きにするがいい。
椅子に腰を降ろして、結城の寝顔を覗き込む。
『絶対優勝して喜ばせてあげる』……か。
「バーカ……」
お前なんかいなくても、あんな試合勝てたっつーの。
無理しやがって。具合悪いなら大人しくすっこんでろ。
喜ばすどころか逆に心配かけてどうするんだよ。
ったく……お前って奴は……。
「どうして……俺なんかのためにそんなに一生懸命になるんだ」
まだ少し苦しげな寝顔にそう問いかければ、思いがけず、小さく返答が返ってきた。
「先生……すき」
……寝言。
思わず小さく吹き出す。
「バカ……解答になってねーよ」
細く柔らかい髪に手を延ばして、優しく頭を撫でてやると、結城は安らかな寝息を立て始めた。