ならばお好きにするがいい。
“私だけ”……補習授業……?
「……ふふ」
「?なに笑って……」
「わあーいッ!喜んでお受けいたします、その補習授業とやら!」
「あぁ!?」
「私だけ補習授業ってことは、つまり先生と2人きりになれるってことでしょ!?そんなの願ったり叶ったりだよ!ありがとう先生、嬉しいっ!」
バチン。
聞いたことがある音がしたと思ったら、直後におでこに訪れたあの痛み。
「センセ……デコピン上手いよね……」
「そりゃどーも。お前のおかげで上達したんだよ」
先生はファイルを元の場所にしまいながら、ため息をついた。
「ちなみに……補習授業は俺じゃなくて、他の先生にお願いする」
「えぇ!?なんでーっ!?」
「当たり前だろーが。俺が教えて点数取れねーってことは、俺の授業が合わねーってことだろ?だから他の先生に見てもらえっつってんだよ」
「そんなのあんまりだよ!」
「あんまりなのはお前の点数だろ。これ100点満点の平均70点のテストだぞ。なんだ4点って。四捨五入したら0点じゃねーか」
だって数学苦手なんだもん。
「ゔ~……。先生の意地悪。もういい、補習受ける……」
「なにやる前から諦めてんだ、お前は。もう1回デコピンされてーのか」
「だって60点なんて無理だもん!4点の15倍じゃん!」
「だったら4点取った時の15倍勉強すりゃいいじゃねえか」
そんなこと……言われても……。
「4点取った時の勉強時間は0分だから15倍しても0分だもん」
「屁理屈叩く時間があるなら教科書頭に叩き込め」
じりじりと先生の剣幕に圧されて、口ごもってしまう。
先生の言ってることはごもっともで、自分でもさすがにこの点数はマズイってことは分かってる……けど……。