ならばお好きにするがいい。
その尖った部分を溶かしてくれた結城。
俺のために怒って、泣いて、笑って。正直、なんでコイツがここまで俺のために一生懸命になるのか全く分からない。
でも、感謝しないといけねぇな……。
「結城」
名前を呼べば、すぐにこっちを向く素直な奴。
こぼれ落ちそうな澄んだ瞳が、俺を捉えて微かに揺れる。
「……ありがとな」
今回の体育祭を機に、俺の中で教師としての何かが変わった。
なんで教師になったのかと訊かれたら、やっぱり答えは不純になっちまうが、どんな教師になりたいかと訊かれたら、新しい答えが出せそうな気がする。
この体育祭を通して、結城は大切なことを教えてくれた。
「楽しかった」
食っていくためだけに、ただぼんやりとこなしてきた教師という仕事。
つまんねー仕事だと、そう思っていた。
だが……本当は、案外楽しい仕事なのかもしれねぇな。