ならばお好きにするがいい。
「……帰るぞ」
先生は私の肩に優しく手を置いて、そっと体を離した。
「家族に心配はかけちゃいけねぇ。いいな?」
心配……?
「ほら、さっさと連絡……」
「連絡、したって……」
「?」
「連絡したって、家に……誰もいないもん……」
いないの、誰も。
家には誰もいない。
だから連絡したって、意味ないんだ。
心配かけるなって言われても、心配かける相手がいないんだよ……。
「結城……なんで、泣いてんだよ……」
「……泣いてないもん」
「泣いてるだろ」
「泣いてない」
「泣いてる」
「泣いてないっ!もう慣れたの!寂しくなんか……ないっ……」