ならばお好きにするがいい。
 
お湯の設定温度は、私にはちょっと熱すぎたから、少しだけ水を足した。


汗でぺたぺたになった体をいつもより少し丁寧に洗って、言われた通り顔もしっかり洗った。


それから、まだ少し熱い湯船にゆっくり入った。


とっぷり耳まで浸かったら、なんだか不思議な気分になった。


……先生の、お風呂。


いつもは先生が入ってるお風呂に、今は私が入ってる。


お仕事が終わって帰宅した先生は、このお風呂に入りながら、いつも何を考えてるんだろう?私のこと、考えてくれたりするのかな……。まさかこのお風呂に私を入れることになるなんて、考えたこともなかっただろうなぁ……。だって私も考えたことなかったもん。


そんなことをあれこれ考えながら、今日の出来事を振り返る。


いつもなら、暇な日は家にこもって絵でも描いてるはずなのに、今日はなぜか無性に1人でいるのが寂しくて、公園に出掛けた。


今思うと、小田切先生に呼ばれたんじゃないかって思う。


「……なんてね」


そう都合良く解釈する自分を笑って、私はお風呂を出た。


先生に借りたシャツに腕を通したら、その大きさに驚いた。先生が着ると半袖のシャツは、私が着ると袖が肘の部分にくる。


「先生って、やっぱりおっきーな」


だぼだぼなシャツに身を包んだ私は、頭にタオルを乗せたままお風呂場を後にした。



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