ならばお好きにするがいい。
眩しすぎる先生の裸を直視出来ずに俯いていたら、「オイ」と声をかけられた。
顔を上げると、先生がベッドに座ったまま、タオルを持った手を私に向けていた。
わけが分からず首を傾げたら、先生はタオルを持っている手とは反対の方の手の親指を立てて、その手を自分の顔の横に持っていった。
「背中、拭いてくれ」
「えええ!?」
「自分じゃ手ェ届かなくて拭けねーんだよ」
立ち尽くす私にタオルを放ってよこすと、先生は私に背中を向けた。
しなやかな筋肉に包まれた、綺麗な背中。いつもはスーツで隠されていて分からなかったけど、意外にがっしりしていて、逞しい。野球をやっていたって話は本当なんだなって思う。
「先生の背中、おっきいね」
「お前が小さすぎるんだよ」
いつも追いかけている背中が、こんなにも近くにある。
少し汗ばんだその背中に、優しくタオルを滑らせると、先生が少しだけ肩を震わせた。
「バカ、くすぐってェよ……」
笑いを堪えながらそう小さく呟いた先生が可愛くて。私も思わず笑ってしまった。
「先生」
「なんだ」
「先生のこと好きすぎて好きすぎてなんかもうどうしようもないんですけど、どうしたらいいですか?」
「アホなこと言ってないで黙って拭け」