ならばお好きにするがいい。
「そろそろ眠いんだろ。寝ろよ」
私が小さくあくびをしたのに気付くと、先生は優しく布団をかけ直してくれた。
「せんせ」
「なんだ?トイレか?」
「……今日、ごめんね」
暗い天井を見上げながら、自然とぽつりとこぼれた言葉。
「……先生のこと元気にしにきたはずなのに、逆に元気にしてもらっちゃった」
怒られるのを覚悟で、先生の胸に潜り込んだ。どうせすぐに「コラ、離れろ」って引き剥がされる。
でも、先生は怒るどころか、もっとこっちに来いと言わんばかりに、私の体を優しく引き寄せた。
その先生の意外な行動に、息が止まりそうになる。
「せん……せ?」
「なんだよ。お前からくっついてきたんだろーが」
「そ……だけど……」
「じゃあ、いいだろ」
先生の胸に寄せたほっぺは、心臓が移動したかのように熱くなった。
クーラーが風を送る静かな音だけが響く部屋では、先生の心臓の鼓動がとても大きく聞こえて。それに自分の鼓動を重ねたら、どうしようもなく涙腺が緩んだ。
「……なんだ、また泣いてんのか?」
「う……」
「今度はどうしたんだ」
「……嬉しくて」
「?」
「こんな風に、誰かの隣で寝たの、小学生の時……お母さんの隣以来だから……」