ならばお好きにするがいい。
「帰らない!」と言い張るバカと対等になって言い合っていたら、頭がふつりと沸き上がって、収まっていた頭痛が再びズキリと頭を突き刺した。
起こした体が、重力に従ってベッドに沈んだ。
「ほら、騒ぐからまた熱上がっちゃったじゃないですか」
そう言いながら、結城は俺の額に手を乗せた。あたかも俺が悪いというような口ぶりだった。
それから、結城は俺に布団をかけ直すと、不意に立ち上がった。
「先生が早く元気になるようにごはん作るのっ!」
そんなこと言い出したものだから、俺は再び飛び起きてそれを制した。
爆弾みたいな奴が作る料理なんて爆弾に決まってるだろ!俺を爆破する気か!
そう暴れると、結城にトン、と肩を押された。弱っていた俺の体は、情けなくベッドに崩れた。
騒ぎすぎたせいか、呼吸をすることさえ辛くて。もはや抵抗する気力を失った俺に、結城は「大丈夫です」とだけ言って部屋を出ていった。
やむを得ず観念して、俺は布団を被って目を閉じた。
とりあえず、爆発が起きないことをひたすら神に祈った。
それから数分後、うとうとしていた俺の鼻をくすぐったのは、玉子粥の柔らかい匂いで。その意外な展開に安心したと同時に、部屋に広がったいい匂いに刺激され、くる、と腹が小さく鳴った。