ならばお好きにするがいい。
 
「も、もしかして……また私のヒマワリ見に来てくれてたんですか!?」

「自惚れんなバーカ、んなわけねーだろ。たまたま通りかかっただけだ」

「ぶー」

「お前こそ何してんだ、あんなにバタバタ廊下爆走しやがって。誰かに追われてんのか?」

「先生に追われたい」

「黙れ」


「とにかく廊下は走んな。危ねーだろ」そう言いながら、先生はハアとため息をついた。


「あのね、先生にお願いがあって捜してたの!」

「断る」

「えぇっ!?まだ何も言ってな……」

「どーせ合格点を60点から40点に下げてくれとかそんなんだろ。残念だが、俺は一度言ったことは絶対曲げない……」


先生の目の前に、抱えていた数学の教科書をずいっと突き付けて、先生を睨み付けた。



「私だって一度言ったことは絶対に曲げません」



先生は目を丸くして、私と教科書を交互に見た。


「絶対ちゃんと60点以上取る!そして絶対先生からご褒美もらう!
でも、今のままじゃ多分取れない……から」


黙って私を見下ろしている先生に、教科書を突き出したまま頭を下げた。


「お願いしますッ……!勉強教えて下さいっ!」



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