ならばお好きにするがいい。
「仲良しなんですね、小田切先生と樫芝先生って」
私のその一言に、「は!?」と顔を歪めたお二方。
「あらら……そう見えちゃう?」
「はい!」
「だってよ。どーしてくれんの雅人」
「ふざけんな、ただの同僚だっつーの。じゃなきゃこんな馬鹿と口なんてきかねーよ」
「その馬鹿に一度もオセロ勝ったことない超馬鹿は誰でしょね」
「んだと……!それは、あの、アレだ……手加減してやってるだけだ!俺が本気出したら四つ角全部取んぞコラ」
オセロしてるんだ……。
やっぱり絶対仲良しだよね……。
「小田切せんせオセロ弱いの?」
「強いっつってんだろ」
「はい嘘。めちゃ弱。莉華でも勝てるよ多分」
「樫芝……!」
それからしばらく樫芝先生の小田切先生いじりが続き……。
それがあんまり楽しくて。
「小田切先生!樫芝先生!こんなところで何してらっしゃるんですか!」と、勢い良く開いたドアからドスドス入ってきた年配の女の先生の怒鳴り声で、初めて壁にかかった時計に目を向けた。
気付けば、下校時間はとっくに過ぎていて……。
「樫芝先生!小田切先生が戻って来ないから様子を見てくるって職員室を出てから何時間経ってると思っているんですか!ミイラ取りがミイラになってどうするんです!?」
「ハハ……スミマセン」
「小田切先生!あなたも見回りの仕事しないでこんなところで何していたんですか!」
「すみません」
「とにかく二人とも、早く校内の見回りして職員室に戻って下さい!分かりましたね!?」
「はい」
女の先生は「あなたは早く帰りなさい!下校時間はとっくに過ぎていますよ!」と、最後に私も怒鳴りつけると、鼻息荒く美術室を出て行った。