ならばお好きにするがいい。
 
ある日の放課後、私は1人で人気の無い廊下を歩いていた。


そして、美術室前にさしかかった時、見慣れない人影が目に飛び込んできた。


背の高い、男の人。


その人が先生だと分かるまで、そう時間はかからなかった。


確か、数学の先生だ。


……あの“怖い”で有名な。


私はまだ授業を受けたことが無いから分からないけど、噂によるとかなり厳しいらしい……。


言われてみれば、確かに怖そうな雰囲気。


鋭い目つき、深く眉間に刻まれたシワ。


でも、若いし、スタイルだってモデル並みだし、顔立ちだってスッと綺麗に整ってる。


こんなにカッコいいんだから、多少厳しくてもモテると思うんだけどなー……なんて。


先生は掲示板に貼られている一枚の絵を、ただ黙ってまじまじと見つめていた。



「あ……」



思わず声が漏れた。



だって、先生が食い入るように見つめていたのは、私のヒマワリだったから。



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