ならばお好きにするがいい。
 
「ん?」


人気の無い廊下では、小さく漏れた微かな声さえよく響いた。


それに気付いた先生が、ゆっくり私の方に視線を向ける。


「こ……んにちは」

「……あぁ、こんにちは」


へこっと頭を下げた私を確認すると、先生はまたフイッと視線を絵に戻した。


そろそろと近付いて、先生の視線の先を確認すると、その鋭い視線はやっぱり私のヒマワリに向けられていた。


真剣に見てるって言うより……睨み付けてるって表現の方がしっくりくる。


この絵、そんなに気に入らないのかなぁ……。


じゃあ、これ私が描いたってバレたらヤバい……ボコボコにされる!


慌てて胸元の名札を手で覆い隠して、私は先生に背を向けた。


「さ、さよーなら~……」

「……おい」


速やかに先生の側を立ち去ろうとした時、ぐいっと肩を掴まれた。


「はいィイ!?なななななんでしょう……!?」

「お前……この絵、どう思う?」


先生は問いかけながら、あごで私のヒマワリを示した。


「え……この絵、ですか……えーと……」


返答に詰まっている私を見て、先生は長いため息をつくと、絵に視線を戻しながら口を開いた。



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