ならばお好きにするがいい。
「変な奴だな」
ガコン、落下音を確認してから取り出し口に手を差し込んだ。
缶コーヒーと、ココア。
よく冷えた二本の缶を抱えて、俺は車に戻った。
「ん……ぅ」
俺のスーツにくるまったまま、相変わらず苦しそうな寝息を立てている結城。
ハンカチを取り出して、額にぷつぷつと滲んでいる汗を拭いてやる。
「……熱、下がらねーな」
火が吹きそうなほど熱い結城の額に、ハンカチでくるんだココアの缶を当てる。
「……ん」
すると、苦しそうに歪んでいた結城の表情が徐々にほどけて、俺は小さく安堵の息を漏らした。
これで少しは熱が引きゃいいんだが……。