ならばお好きにするがいい。

「変な奴だな」

 
ガコン、落下音を確認してから取り出し口に手を差し込んだ。


缶コーヒーと、ココア。


よく冷えた二本の缶を抱えて、俺は車に戻った。



「ん……ぅ」



俺のスーツにくるまったまま、相変わらず苦しそうな寝息を立てている結城。


ハンカチを取り出して、額にぷつぷつと滲んでいる汗を拭いてやる。



「……熱、下がらねーな」



火が吹きそうなほど熱い結城の額に、ハンカチでくるんだココアの缶を当てる。


「……ん」


すると、苦しそうに歪んでいた結城の表情が徐々にほどけて、俺は小さく安堵の息を漏らした。


これで少しは熱が引きゃいいんだが……。





< 43 / 167 >

この作品をシェア

pagetop