ならばお好きにするがいい。
 
つーか、なんで俺だ。


んっとに意味分かんねーよ、こいつ。


なんで俺だ。


なんでよりによって俺なんだ。


好きになるなら普通俺より樫芝だろ。


実際、樫芝は女子生徒から莫大な人気がある。


優しい、面白い、かっこいいの三拍子揃った理想の先生だとかなんとか。


一方俺は、鬼だの悪魔だの大魔王だの、とんでもねー評判が染み付いちまってるみてぇだが……まぁ、それはそれで良い。


俺は生徒との必要以上の馴れ合いは好きじゃねぇ……多少距離を置いて、遠くから見てる方が、生徒との間に適正な関係が築けると……。


「……思ってるのに、なんでテメェはベッタリくっついてくるんだコノヤロー」


はぁー……と、また長い溜め息が溢れる。



「ったく……俺のどこがいいんだか」



なんだか、小動物に懐かれた気分だ。


ウサギ……じゃねぇな、猫……とも何か違う。


……あ、犬だ。


物っ凄いバカな仔犬に懐かれた気分。


どんなに追っ払っても、尻尾振って追いかけてくる、どうしようもねェバカな仔犬に懐かれた気分。



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