ならばお好きにするがいい。
 
「いい加減にしろ!」


放っておいたらまだまだ言葉が出てきそうな小さな口を、手で塞いだ。


予想以上に大きく出ちまった怒鳴り声に、自身もハッと我に返る。


結城を見ると、驚いたように大きな目を更に大きく見開いて俺を見上げた後、泣きそうな表情を浮かべて俯いた。


あー……やっちまった。


心の中で苦笑する。


別に……そんなに、怒ってねぇんだけど……。


必要以上にデケー声で怒鳴っちまうのは、教師の性っつーか……その、いつもの癖で……つい。


お前と一緒にいたくないとか、お前のことが嫌いだとか、そういうんじゃなくて。


……ただ俺は、早くお前を休ませたいだけだ。



「……」



なんて、俺の性格上そんなこと素直に言えるはずもなくて……。


悲しそうに下を向いている結城に、なんて声をかけたらいいかも分からず、俺は結城の手からスーツを引き抜いた。


すると、ますます寂しそうに眉を下げる結城。


……いやちょっと待て、何をしてんだ俺のバカ!追い討ちかけてどうする!


なんだか、弱った仔犬を虐めてるような罪悪感だ……。


謝るべきなのか?謝るべきだよな。ならさっさと謝れよ俺!なに意地張ってんだ!あーもう、この自分の性格面倒臭ェ!


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