ならばお好きにするがいい。
先生、それは反則です。

温度差

 
7月、初夏。


夏休み目前のこの時期、セミの声と一緒にやってくる行事がある。


その名も……


「全クラス対抗、体育大会いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」

「……」


隣で冷めた目をしている聡未の肩をバシッと叩く。


「ちょっと聡未!ちゃんときいてるの!?」

「あーはいはい聞いてるし、それに言われなくても体育祭があることくらい知ってるわよ。だるいわ」

「だるいとか言うな!」


そうなのです!


私の学校では、夏休み直前のこの時期に体育祭があるのです!


年に一度、スポーツを通じてクラスの絆を深める、素晴らしい行事、体育祭!


その実行委員長こそ、このわたくし、結城 莉華なのです!むふ!



「はー……熱いわね。地球温暖化の原因ってアンタなんじゃないの?」

「光栄です!」

「うるせーよ。流氷返せ、白熊のおうちを返せバカヤロー」



小田切先生には「どんくさい」とか「のろま」とか言われまくっている私ですが、実はこう見えてスポーツは大好きで、割と得意なのです。


だから体育祭は大好きな行事のひとつで。


この体育祭を通じて、クラスがひとつになれたらいいなー、なんて思っています。


それに生徒と生徒の絆だけじゃなくて、生徒と先生の絆も深まったらいいな……なんて。





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